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津軽三味線

   きっかけ
 20代の時に初代高橋竹山さんの演奏をTVで見て目が点になった。「えっ、これが三味線?」と耳を疑うほど、キレのいいハイテンポなリズムと澄みきった音、一人で弾いているとは思えない重なり合う旋律・・・。驚いたけれどそれをやってみたいという気は起こらない縁のない世界だった。
 40になってTOGAWAレクリエーションサービス(レクサー)を起ち上げて、施設でのグループレクの定番種目として三味線を覚えようと思い、徳島市主催の三味線講座を受講する。2年間習ったが長唄が基本の教室だったのでお年寄りが楽しめる曲はなく、やめて民謡三味線の会に入る。そこで出会ったH先生が時折、津軽三味線を持って来て弾かれた音を聴いて・・・昔の感動がよみがえり、先生から頂いた「津軽じょんから節」の譜面をひたすら練習して津軽三味線を購入。本物の道具を手にすると練習も熱が入り勢いづいて兄が居住する青森へ見聞の旅をした。

本場で受けたカルチャーショック。岩木山に登った帰りに立ち寄った弘前の居酒屋での三味線ライブに音に圧倒された。「絶対弾ける・・」ビデオではなかった機関銃みたいな音に度肝を抜かれた。更に翌日は義姉のお母さんの伝手で地元のプロ奏者「山上進」さんがわざわざ訪問してくれてレッスンをして頂いた。3の糸を胴皮の前と後ろに打ち分ける「前バチ・後ろバチ」撥づけを至近距離での熱い指導に目からウロコの感動だった。

皮の真ん中で甲高い音を鳴らす後ろバチと胴の縁で撥を止めて音を締める前バチ、強弱のメリハリの効かせて安定したリズムを刻むのがポイントで津軽ではこれを3年やらなければ曲練習に進めないという慣習だった。・・・旅から帰ってからは毎日撥づけ練習をして翌年も青森に赴いて山上氏にみてもらうと「だいぶ良くなったので後は自分でやればいい」と言われた。この撥づけを伝えていきたいと願い平成15年に津軽風三味線会「つがるん」を始めた。
地元でないので津軽風です。

   三味線の種類
三味線は大まかに棹の太さで細、中、太棹の3種類があります。そして更に曲のジャンルで分けられます。細棹は長唄、小唄など・・、中棹は地歌、民謡ほか、太棹は浄瑠璃と津軽です。津軽は義太夫三味線を元に作られたものですが棹の形状や糸巻、撥、駒など全く違っていて別物です。僕は長唄三味線から入ったのですが、三味線という楽器の基本的な扱い方や長唄や民謡の先生や三味線店さんから教えて頂きました。津軽の教室でも初めは基本から入ります。
種類 太さ(目安) ジャンル 特 徴
細棹
(ほそざお) 
25.4mm
±0.6mm
長唄筝曲 阿波踊りでは小ぶりで軽いので多く利用される。音色も軽い。半月状の撥皮で胴の前部分で弾く。
中棹
(ちゅうざお
26.6mm
±0.6mm
民謡、阿波踊小唄、地唄、常盤津 民謡はネジ式の東さわりがあり響きをつけやすい。下棹の元まで平面で高い音も出しやすい。地唄は琴や尺八との合奏用、小唄は撥を使わず爪弾きする。
太棹
(ふとざお)
27.8mm
±0.6mm
義太夫
義太夫節で人形浄瑠璃の伴奏用。下棹の元が鳩胸、さわり溝、背の高い大きい駒と長い撥を使う。
義太夫をベースにして、民謡三味線と同じく下棹の元まで真っ直ぐ延長して高音を出せる。東さわりがある。糸巻きが太く胴もひと回り大きい。皮も厚く撥皮も長い。
 三味線の取扱い  
  津軽三味線特有の「叩き」の奏法は胴を太鼓として撥を強打するので、皮も厚くしっかり張ります。皮の接着は「寒梅粉」という餅の粉を水で溶かして貼っています。水溶性の粉なので湿気や、結露に弱く、日頃の手入れや保管場所に気をつけないと破れたり縁から剥がれたりします。経年により皮が緩んで音も悪くなるので定期的に張替えが必要ですが、代金が高いので破れるまで使う事が常になっています(苦笑)  
  ・暑い時季は車の中には絶対に放置しないように。 
・保管は湿気の少ない涼しい場所に置く。
・胴は和紙袋に包んで中に除湿剤を入れておく。
・三味線は毎日出して空気にふれる事が長持ちしやすいです。
 

三味線の基本練習
   津軽三味線は太棹の三味線で一般的な細棹と比べて高価な為、三味線初めての方がすぐには買えない道具です。けれど徳島は阿波踊り県なので細棹の三味線は多く出回っている環境なので、安価で調達しやすいです。細棹でも大きさは違えど同じ三味線なので基礎的な練習はしっかり出来ます。そのうえで本腰入れてやりたくなったら専用の道具を買えばいいかとと思います。  
  お稽古の準備  
   
  三味線を正置:天神を左にして置く。皮の下に和紙袋又はつや布巾を敷く。

駒をつける
:胴の縁から指3本程度あける。

糸巻きの位置
:細棹の糸巻きは上から右1糸、左2糸、右3糸をつけますが、津軽は上から1−3ー2糸で組まれる事が多く津軽巻きと呼ばれています。
 
 
 
     駒の位置
 
胴の縁から指3本分くらいの位置で駒をつける。
 
調弦の手順  5本、二上り(会派によって異なります。)

@調子笛で音をとる。
調子笛を吹いて1の糸の高さを合わせる。
糸巻の回し方:左手で1の糸巻を握って、真ん中の糸巻を腰付近にあてがえて糸巻を回し、回し終わりに糸巻をねじ込むように押し込んで締める。これを怠ると糸巻きが戻りやすくなる。
Aチューナーで確認
周波数表示が440HZになっているか確認して、1の音を確認、高さが合うまで糸巻を微調整する。
Bさわりをつける
調弦の仕上げはさわり音。三味線を構えて右手で1の糸を軽く1回鳴らす。左手の指でさわりネジを回して、響き音が一番長く残る位置に合わせる。さわりがついたら音が少し下がるので再度チューナーで確認して張りの調整する。
2、3糸
1糸と同様に笛で音をとって調弦してチューナーで確認する。慣れてくるとさわりの響き音だけで合わせられようになります。