クライミング ウォールづくり 福島支援

ウォールづくり
倉庫新築
 平成21年、古い屋敷にダッキーを保管していましたが、フネがネズミにかじられたり、ムカデが入りこんだりして倉庫を建てることに。義兄(1級建築士)に改築か新築かの相談すると・・・耐震性、境界の無駄なスペースあり、新築でも費用は大差ないとの事で11月に着工しました。
解体前 井戸を残して解体 骨組みが出来る 工事完了H22年3月
 解体前の右部分はかまどと井戸がありモーターで汲み上げていた。昭和60年代に市水道に変わって以降井戸は無要となった。中を覗くと未だ水があり先祖代々から命をつないできたものなので残すことに。
思いつきのウォール:解体作業が終わる頃に遊べる倉庫にしたいと壁の一面にクライミングウォールを造ろうと思いつた。義兄に相談すると、図面上では可能だが倉庫のスペースが狭くなると難色あり、建物の容積を広げると、設計、見積、県提出の書類申請等全てやり直しになり業者に迷惑かけるので変更せずに設置することにした。
事前調査僕自身ウォールクライミングの経験や知識が全くなかったので誰か相談出来る人は・・と考えると以前に非常勤で関わった城西高校の登山部顧問だったS先生を思い出し学校に伺う。登山部の部室にあるウォールはS先生が手がけられ、壁の落書きのような文字が楽しそうに練習する様子が浮かんできた。 後日に建築の請負業者と施工店の三者で実物を見てもらう。パネルは木製コンパネ、骨組みは足場用の単管で準備することに。
 登り体験:ものづくりには体験が必須なので県山岳連盟のクライミング講習に参加。鳴門運動公園体育館のウォールはFRP強化樹脂のパネルにて高さ12m。コースが3本あり初級コースにとりつくがルート半ばで終了だった。その後何度か行ってどうにかクリアしたが、高難度コースを簡単に登る人を見て柔軟な体や姿勢、四肢の使い方など動きの形が違うなあと実感させてもらった。
パネルづくり~1~
模型づくり ダンボールで壁のミニチュアサイズを切って作ってみる。骨組みは割り箸で組んで貼る。これにより必要なパネルの枚数や骨組みの単管の本数が明確になる。クライミング指導者のKさんに見てもらい、手直しして垂壁は1.8m幅、100度の前傾2.7m幅にする。
パネル注文 ホームセンターで1.8m×0.9m板厚15㎜のコンパネを15枚注文。うち5枚が大きい節や、タワみがあったので交換してもらう。節があるとドリルでの穴あけや、ネジ締めに支障をきたす為。15㎜コンパネは注文となるので値段も高くなって1枚1,500円くらい
爪つきナット
ボルト式のホールドを止めるM10の爪付ナットが500個ほど必要なので箱単位で購入。ホームセンターよりも工具金物店で買うほうがかなり割安。
塗装
柿渋塗料でパネルの塗装をする2度塗り。通常のクライミングパネルの塗料は滑りを抑えるために高粘度で皮膜の厚い、砂の入った塗料で塗るのが効果的だが、柿しぶはの日本の自然塗料で無臭、防湿、防水、防虫効果があり、何といっても裸足で登る子供たちには安全です。
穴あけコンパネの裏側よりドリルで穴あけ。M12のドリル刃で1枚に33個の穴あけをする。端から10cmあけて横長に7穴が3列、6穴が2列にて合計33穴です。穴の数や、位置は等間隔でもフリーでもいいのですが、ボルト式のホールドを多くしたかったのでこの数にて作業しやすい等間隔にした。
 接着剤補強 
爪つきナットをハンマーで打ち込む前に、回り止め用に穴のまわりに接着剤をつける。セメダインはスーパーXG速乾性を使う。通常はつけなくても爪で止るのですが荷重のかかる箇所なので念入りに補強とした。
 打ち込み
爪つきナットを穴に入れてハンマーでガンガン叩く。とにかくやかましいので昼間に行う。ナットは最後までしっかり打ち込む。15枚打ち込んでパネル準備は完成。
 支柱工事単管骨組み
建設用足場の単管を長さを測って切断機で切り、クランプで骨組みを作る。ベースはコンクリート用ビスでの床に埋め込む。
   木枠づけ
単管にパネル縫付用の木枠を取りつけていく。見学したウォールは木枠を番線で止めていたが、こんな金具でスッキリと見栄えよく取り付けてくれた。
   パネル取り付け
仕事で手伝えなかったが、大工さん一人で重い15mmのコンパネを全部あげてビス止めにて完了していた。さすがにプロだなと感心。垂壁と前傾壁の三角の段差もきれいに貼り合わせてくれて大満足。
 
ホールドづけ~2~
 ネットでホールドメーカーを調べてボルト7割、ネジ3割の割合で120個ほど注文する。ウォールのコンセプトが子供や初心者が楽しめる壁なので初級用のセットを選んでもらう。ホールド屋さんとピラミッドジャパンと追加でラブホールドを購入する。
 ホールドが入荷したもののどれをどこにつけるか見当がつかないので、山岳連盟のKさんにお願いすると快く協力して頂いた。下画のように広げたものをkさんはインパクトレンチでてきぱきと打ち込んで2時間弱で作業は終了。電動インパクトはトルクの加減にコツがいるので、僕は六角棒レンチで手締めする。
ホールド屋さんより購入したHRTのホールド。キメの細かい石でつかみやすいいい手触りのホールド。ボルト止めのものを7割にセットを選ぶことにした。薄く小さいものは足用でネジ固定になる。全部で80個ほど
ほーるど市場さんより40個ほど購入した大きめのホールド。スタートやゴールでの大きくしっかりつかめる「ガバ」などが多い。
柿しぶで塗装したVOCKさんの木製ホールド。価格は少し高めだが壁面にはピッタリ合って、まさに渋いホールド。15個ほど。
70個ほど追加発注した大きめのラブホールド。ハートマークが目印。これで初心者でもかなり登りやすくなった。
ボルトオンのホールドに使うM10のキャップボルト。ほーるど屋さんではサービスでついていた。長いボルトになるとねじ切りしていない幅が広くなって締め付けられないものがあるので全ネジタイプを購入されるほうがいい。
皿ボルト用のホールド穴に使うM10の皿ボルト。キャップスクリューよりは高トルクの締め付けが出来るのですが在庫が少なく値段も少し高めになる。
皿ネジは太さ、長さがいろいろあるのでホールドの穴にきつ過ぎず、ゆる過ぎないものを選ぶ。
M10のアイボルト・・・リードロープのクリップ練習用にパネルに取り付ける。けれどネジ下長さが10mm強と短いので荷重はあまりかけられない。あくまでリードクライムのクリップワークの練習用として取り付ける。
六角棒レンチ・・・ボルト止めのホールドに使う。上がM6、下がM8の六角棒レンチでM6は皿ボルト用、下のM8がキャップスクリュー用。
インパクトレンチでボルトのホールドを先に付けて、スペースのある箇所にネジ式の小さいホールドをつけて完成。
奥のゲストルームから見たウォールの内側。トップロープ支点や、ボルト締め付けに不具合が生じた時に入ってメンテナンス作業が出来る。通常は布団などの収納スペースとなっている。
平成22年3月下旬に一応の完成となり、仲間の皆んなに登ってもらった。ウォールづくりで色々な方にお世話になった設計のMさん、城西高校のS先生、県山岳連盟のK先生他、請負及び建築の姫野組さん、ホールドやマットのメーカー販売店さんなど経験、知識がない自分に丁寧に教えてくれたり協力して頂いて感謝です。これからは子供たちや大人が楽しめるいい壁になるよう励みます。

マットづくり~3
 体操やクライミング用のマットを購入すると1枚(90×180㎝程度)3万円程度して当方の床面積では30万くらいはかかる。マットは中身のスポンジよりカバーを縫製する人件費が高い。また運賃が1枚2千円
ほどかかる。一番安く出来るのはスポンジを購入してカバーは自作する方法。スポンジは愛知のウレタン会社より仕入れてカバーはビニールで作ることにした。
 人が4m高さから落ちても怪我しないよう衝撃吸収するウレタンスポンジの材質と厚みとは?・・・この疑問をウレタンを扱う業者2~3社に聞いてみた。スポンジは密度が濃いほど衝撃を吸収する。低反発マットはスポンジの密度が濃く、値段はそれに比例して高く、重量も重くなる。 スポンジ規格もいろいろあって「ECM」という規格が一般的で安価。これをビニールで包装して上にカーペットを敷くことにした。
パンチカーペット貼り
床がコンクリート地の為、下地として床全面パンチカーペットを貼る。カーテン屋さんより生地と糊を購入して作業のやり方を教えてもらうが、中腰で糊を塗る作業がかなりきつく終了時はぐったり。最後の重ね切りに四苦八苦して2日かかってやっと完成した。
カバーづくり
市販のマットは丈夫な布地で縫製しているが、無理なので材料は加工しやすいビニールにする。ビニールの厚みは0,5㎜で幅はスポンジ幅にあわせて900㎜幅のロールを購入したが失敗。スポンジ幅に合わせて縦巻きにしたが弾力が大きいので接着がもたないと指摘され横巻きに変更。返品はやめてこれを使うことにした。
スポンジ手配
愛知県のウレタンスポンジ会社より90cm幅×長さ2m×厚み20cmのスポンジを6本購入する。値段は1本1万2千円(運賃込み)。これにネットでビニールを1巻購入して内側は両面テープ、外側はビニールテープで貼り合わせる。箱を包装するのと同じように要領で両端は三角折りにして内側に入れ込んで貼る。
補整
ひとりでやると時間がかかるのでレクの知り合いのUさんが手伝って頂いた。作業は製作を重ねていくと要領がわかって速くなり仕上がりもきれいになっていく。角のビニールの重なる部分は上手く合わなかったがUさんのアイデアでドライヤーを使ってぴったりあうように補整してくれる。
ハトメパンチ
ビニールロールが足りなくなって知り合いのテント屋さんで切り売りしてもらう。その際にこの作業の話をしたら・・・「ビニールの全面包装ではマットに荷重をかけた際に中の空気が抜ける穴が必要では?・」と提案されてハトメパンチがいい!と教えてくれた。小冊子を紐とじする時に使うハトメの大型があるらしいくビニール接合部の固定と空気穴が出来て一石二鳥。道具も1,600円で早速工具店で購入。
ハトメ打ち
マットスポンジの上で板を敷いて、その上にポンチウスを置いてビニールの上からハンマーで叩く。穴があいたらハトメをつけて上から叩いて止める。始めはミス打ちもよくあったが徐々にすっきり留めれるようになった。
カーペットを敷いて終了
カバーが出来たスポンジマットを並べて置き、その上に古いカーペットを重ねて敷く。カーペットはインテリア店より廃棄用を頂いて切って端はガムテープで縁取りする。3枚くらい重ねると芯がでて低反発マットのような固さになる。けれど大人が使うと1日でカーペットがずれて直す手間がかかるので、マットの上にコンパネを敷きつめてカーペットを敷くと乱れが少なくなった。